こんぱち。

音楽サークル「ましろ。」についての情報やDTM、ゲームについてだらだらぐだぐだ語ります。 たまにゲーム以外の事も。

 

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PSVita/Steam 「VA-11 HALL-A」 感想


Category: PC   Tags: Steam  インディーズ  PLAYISM  
PSVita版/Steam版ともに日本語版発売は2017年11月16日。

日本語版公式サイト(PLAYISM)

Steam

PSVita版公式サイト

本作はベネズエラの開発チーム、Skeban Gamesが開発したれっきとしたインディーズゲームであり、Steamでは2016年に配信されていたものである。
昨年には自分も本作の存在を認知していたが、筆者の心もとない英語力ではなかなか購入に踏み切れなかった一作だ。
今回PLAYISMによるローカライズを経て、ついに日本語環境でプレイできることとなった。

前回の「ルート何とか」に続きアドベンチャーゲームのレビューが連続するのは稀で、また、クリア後すぐにレビューを書かなければならない、と思うのも非常に稀だ。
正直に言うと、本作をプレイし始めた10分後には「この作品だけは何としてもレビューを書かなければいけない」と思ったほどだ。
何故か? このゲームは紛れもなく傑作だからだ。
ただしこれも先に述べておくと、本作は非常に人を選ぶ、恐らく万人受けはしないゲームだ。
だが、刺さる人にはトコトン刺さる。
そんなパンク魂溢れる本作の魅力を紐解いてみよう。

※なお、筆者はSteam(PC版)でプレイしている。
※恐らくではあるが、プレイアビリティはPSVitaの方が良いはずだ…、と信じている。
※幕間で読めるAndroid端末風の画面の操作やカクテル作りの際にはタッチパネルの方が遥かに有効的だ。
※…と言いつつ、PSVita版でそこが未対応なら申し訳ないのだが…。



・Welcome to VA-11 HALL-A

さて、本作は「Cyberpunk Bartender Action」と銘打っているものの、アクション要素と呼べるものは基本的には存在しない。
あくまでも軸はテキストアドベンチャーであり、客の注文を聴いてカクテルを作成するのが主なゲーム性となる。
このとき提供するカクテルによってストーリーが分岐するなど、ゲーム性の大部分を占めていると言って良い。
だが、本作の真の魅力はこの世界設定、ユニークなキャラクターたち、パンチの効いた会話、秀逸なBGMにこそある。

サイバーパンク。
普段エンターテインメントを何らかの形で楽しんでいる方なら一度は耳にしたことがある言葉だろうと思うが、本作の舞台は近未来のイギリス(と思われる)架空の都市、グリッチシティだ。
この街では市民が上級階層と下級階層に分かれており、政府機能は存在するものの実態は街の企業が実権を握っている。
市民はナノマシンを注入されて監視され、お飾りの政府が作った法を遵守させるべくホワイトナイトたちが街を跋扈している――。
街に存在するバーはBTCの認可を受けないと営業できず、本物のアルコールは既に希少品となり、市民の多くは今日を、明日を憂いながら生きている。
本作はそのBTCが認可したバー、「VA-11」地区「HALL」「A」、という認識番号、通称「ヴァルハラ」が舞台だ。
ここまでの説明で何かピンと来るものを感じた方は恐らくプレイしても損はしない。
もっと端的に言えば「ブレードランナー」「攻殻機動隊」「スナッチャー」、「シルバー事件」。最近で言えば「RUINER」もそうだ。
この辺りの作品が好きな人には何か感じるものがあるだろうと思う。

プレイヤーはこの「ヴァルハラ」でバーテンダーとして勤める女性、ジルとなって様々な客の要求に応えるカクテルを作成し、対話を行っていく。

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カクテル作成。作り方のガイドがあるので基本的には迷わない。

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要求に応えるカクテルを提供し、少しずつ距離感が縮まっていく。

・Time to mix drinks and change lives.


本作に登場するキャラクターたちは、ほぼ全員が個性的で魅力に溢れていると言って良い。
主人公・ジル(ジュリアン・スティングレイ、とある理由により本名で呼ばれることを極端に嫌う)と同僚、ギル。その二人をまとめるオーナーのデイナ・ゼイン。
メインとなるキャラクターはこの3人だが、そもそもからしてこの3人の個性が非常に強い。
ジルは27歳であり、大人の女性として描写される場面が多いがその実は子供っぽい一面も持ち合わせており、コロコロ変わる表情はプレイヤーを飽きさせない。(実際には表情は見えないが)


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Time to mix drinks and change lives. ジルの決め台詞だ。

オーナーであるデイナは片腕が義手であり、プロレスラーであったという強烈な過去を持つ人物(女性)で、今現在のジルの片想いの相手だ。
このデイナとジルのやり取りが時に笑いを、時に心に響くやり取りを生む。
同僚のギルも複雑な過去を持っており、恐らくは戸籍を変えてバーテンダーとして生きている。
また、客として訪れる面々も個性的でどこか歪なキャラクターたちばかりだ。
ゴシップメディアの編集長やリリム(要はアンドロイド、各種モデルで用途が異なる)など人型であれば良い方で、喋る犬(コーギー&柴)、果ては「」までもがヴァルハラへ酒を求めてやって来る。

20171209235443_1.jpg
やたらと日本に詳しいデイナ。

近未来であるグリッチシティにおいてはリリムが人間と共存し、身体の一部の機械化、遺伝子操作などが日常茶飯事で行われている。
なるほど、こんな世界であるのならば(こんな世界だからこそ、と言うべきか)人は外見に因われなくなるのかもしれない。
と言うのも、本作のテキストには多くの下世話な会話が頻発する。また、ジルはレズビアンであり、ゲイのキャラクターも登場する。
あまりこういった場でLGBTや政治について語ることは(筆者の信条として)良しとしていないが、本作を語る上でこの部分は非常に重要だ。
キャラクターの一人、ドロシー・ヘイズは見た目は13歳程度の少女型リリムだがセックスワーカーを職業としており、時に「プレイ」の体験談を語りだす。

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こんなネタも有り。

かと思えば「自分は本当に存在しているのか」と悩むこともあるその様は非常に人間らしくも思える。
ジルの友人であり良き理解者たらんとするアルマ(通称おっぱいハッカー)は恋愛経験は豊富だがいつも長続きしない。
そんなアルマも家族(姉妹)のことが悩みの種であり、見た目や言動とは裏腹に繊細なキャラクターだ。

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通称おっぱいハッカー、アルマ。デイナには何故かアーミテイジと呼ばれる。

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筆者のお気に入りキャラの一人、ステラ(左)とその友人、セイ(右)。
ステラは出生前に遺伝子操作を受けており、猫耳に見えるそれはジル曰くただの「突起」。

そう、本作に登場するキャラクターの大半が、何かしらの悩みや不安を抱えている。
彼らの抱える悩みや不安の大半は、この世界のせいで起きている、という訳ではなく、ほとんどが現代に生きる我々と何ら変わることは無い。
これがキャラクターの等身大の魅力を存分に引き出している。
彼らは一時でもそれを忘れるために、吐き出すためにヴァルハラへとやって来る。
最初はジルに対してあまり本音を言わないキャラクターも、数度訪れる度にジルに心を開いていく。
ジルもそれを受け入れ、ただの客から友人へと関係が昇華されていく。この関係性の描写が丁寧に描かれている。
この丁寧な描写は物語が「マクロな視点」であるということに注目したい。
何か政府の陰謀や不穏な事柄が描写される訳でもない。あくまでもジュリアン・スティングレイという人物の日常を描いているのが本作だ。
彼女たちにとってグリッチシティが生活の場であり、今更この街がどうなっているか、などは明確に説明はされない。
プレイヤーは幕間に読めるテキストや会話などによってこの世界の構造を知らなければならない。
この部分を不親切と捉えるかどうかはプレイヤー次第だが周辺状況の説明を削ぎ落とし、人物描写に注力した点は紛れもなく本作の魅力である。
また、本作では各キャラクターたちの「踏み込むべきところ」「踏み込まないところ」を明確に弁えており、その全ての基準はジルの性格によるところが大きい。
シナリオ的な都合でそうなっている部分もあるのだろうが、そう思わせない人物描写、心情描写は見事と言って良い。

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場面によってはこんな画面になることも。

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ジルの部屋でのデイナとの一コマ。飲みすぎると当然、酔っ払う。

・Every Day Is Night

本作の魅力を語る上で欠かせないのが秀逸なサウンドトラックだろう。
全体的なジャンルとしてはVaporwaveになるのだろうが、テクノ、ポップス、フュージョンなどの現代的なセンスと、「ゲームらしいゲームBGM」の見事な融合だ。
本作の面白い点の一つとして、ゲーム中に流れるBGMをエピソード開始前とセーブ画面後にプレイヤーが選曲(12曲)、曲順を決めることができる。(当然、スキップやリピートなども可能)
つまり、気に入った曲があれば1曲をずっと流し続けることもできる。
この辺りは賛否両論かも知れないが、本当に重要な場面では特定のBGMが流れるものの、基本的にはプレイヤーが選曲した順に流れていく。

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自分のお気に入りの曲でBGMを編集しよう。

この場合エピソード中にシリアスな場面になったとしても、明るいBGMのまま…、ということもある。
が、しかし不思議なもので、自分の選曲が場面にぴったりとハマる場合もある。
本作のBGMはGaroadこと、Michael Kelly氏によるものだが、一曲ずつのクオリティが非常に高い。
サウンドトラックとしては3枚(枚、という言い方が妥当かどうかはさて置き)発売されている。

VA-11 Hall-A: Prologue (Orignal Soundtrack: Sounds from the Future)(Amazonプライム会員なら無料で聴ける)
VA-11 Hall-A (Original Soundtrack: Second Round)
Va-11 Hall-a Ex: Bonus Tracks Collection(※ボーナス・トラックとリミックス盤)

氏のYoutubeチャンネルではフルで視聴することも可能だ。
…が、上記で挙げておいて言うのも何だが、実際のところAmazonで購入するのはあまりオススメはしない。
理由は単純で、1枚1,600円と割高であるため。(ただし楽曲を個別で購入はできる)
Bandcamp(筆者のコレクションページ)ではクレジットカード決済が必須だが、直接購入することができ、また、複数の形式でダウンロードすることができる。
なお、PSVita版の初回購入特典はこの3枚より選曲されたサウンドトラックCDである。
CDという媒体ではこのサウンドトラックは流通していないため、あくまでもCDという形式に拘るならこの初回特典版を購入するしか無い。


…全くもって個人的な感想だが、「Every Day Is Night」は「シルバー事件」の「モリシマトキオ」に匹敵するBGMだと思っている。
またもう一つ余談だが、公式サイトにもあるようにPSVita版では「シルバー事件」の曲が1曲、入っている。

本作は冒頭でも述べたようにベネズエラの開発チーム、Sukeban Gamesが開発を担当した。
案の定と言うかやはり、と言うか、彼らは90年代の日本のゲーム、アニメ、オタクカルチャーに存分に影響を受けている。
彼らのパーソネルは以下のインタビューや対談に詳しいが、「何故この作品がベネズエラから出てきたのか?」を理解する一助となるはずだ。

「VA-11 Hall-A」インタビュー、ベネズエラの日常と非日常の中で生まれたパーソナルなアドベンチャー(IGN Japan)

日本を愛する海外のオタクたちは「サイバーパンク」に惹かれ出会った。『VA-11 Hall-A』×『2064: Read Only Memories』開発者対談(Automaton)

この対談にも書かれているように、本作と「2064: Read Only Memories」はコラボレーションを行っている。
同一のカクテルが両作品に登場したり、本作のデイナが客演しているようだ。
また、本作はタイトル画面から前日譚がプロローグとしてプレイできる。
この部分を最初にプレイするもしないもプレイヤー次第だが、ここでは敢えて最初にプレイしないことを推奨するw
プレイ時間はエンディングまでで8時間程度と決して長いとは言えないが、クリア時の読後感、満足感は想像以上にあるはずだ。
(更に本作はエンディングが数種類あり、特別なイベントなどもある)

グラフィックはPC-98風、尖った世界観、なのに繰り広げられる会話は下ネタと特有の人間臭い悩み。
本作は決して大きな視点のゲームではなく、あくまでも彼らの日常を淡々と描いている。
ただそれが、どうしようもなく魅力的なのだ。この不幸な街で懸命に生きる彼らが本当に愛おしくなる。
できることなら、本作に登場するキャラクターたち全員が幸せになって欲しいと心から願う。


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ベネズエラにコタツはあるのか…?

・総括

良い点:
●個性的なキャラクターたちと、ジルの物語を見事に描き切った
●秀逸なサウンドトラック
●PC-98風のグラフィックが今の時代には新鮮に映る
アドベンチャーゲーム好きはプレイ必須レベルの傑作

悪い点:
●カクテル作りが単調で作業感は否めない
●セーブ・ロードがエピソードの幕間、アイキャッチでしかできない


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